見て見ぬ振り
作:相川コータロー
「また会えると良いね。」 そんな言葉を鵜呑みにした僕の馬鹿さ加減。 素直に受け取って良いのか分からなくて。 「またね。」 何も知らずに僕は返事をしたけど。 それが最期の言葉になるなんて思ってなかった。 愛していたのに愛し抜けなかった。 毎日笑っていたキミの心はズタボロで泣いていたなんて。 触れることさえもままならない弱い僕の無力さ。 「もう一度だけで良いから言いたかったんだ。愛してるって…。」 僕の想いが意味をなさなくなった今。 今更だけどお墓の前で泣きながら言わせてくれないか。 「あっちで待っていてくれよな。」って…。 込み上げて来る思い出。 出会いや話したことが鮮明に浮かんできた。 失って初めて気付くキミの存在がかけがえのないもので。 僕の中で生き続けるキミの命を抱いてゆくよ。