相川コータロー作品集

ゴミ箱~GOMIBAKO~:ククヌチのゴミ箱

作:相川コータロー


 眼の前に立ち塞がる障害を拳で叩いていた。
 一向に壊れる気配がなくて諦めかけていた。
 このままじゃ何も乗り越えられなくてさ。
 叫んだ馬鹿野郎って。

 隣人の心に住まう悪魔と対話していた。
 全然会話が成立しなくておかしくなりそうだ。
 こんなんじゃコミュニケーションじゃないってさ。
 笑ったんだキチガイの様に。

 一人一人の心の中で生まれそうな何かの産声を聞いた。
 誰もが傷付き傷付け合って生きているこの世界に。
 生きる希望を見出す方が馬鹿らしいって言いたかったんだ。

 まだ何も始まってないのに終わりを悟った振りをしてさ。
 やらなきゃいけないことを置き去りにしてる今に嫌気が差して。
 誰彼構わず殴りかかって負った傷の数を数えて泣いている。