相川コータロー作品集

Fortuna

作:相川コータロー


幸運なんて、どこにもないんだって思いたくて――

私には夢がある。
だけど、その夢はみんなから「叶う訳ないじゃん」と言われ続けてきた。
その結果、夢をあきらめてしまった私は、無気力人間に成り果てた。

「自分の夢は、叶わない。」
この言葉が、私の中で絶対的なものになっていた。

【叶わないなら、夢を持つだけ無駄。そんなものに意味はない。】
そう信じることで、私は現実を受け入れてきた。

でも彼は違った。

「俺には夢がある。その夢は、この世界を明るくすることさ。」
大きいことを言っていると思った。

出来もしないことを言って、何の意味があるんだろう。
そんなことを言ったって、何も出来やしない。
なら、そんな夢捨てちゃえば良いじゃないの。
心底可哀想な考え方をしていた。

しかし彼は、私に気持ちをぶつけてくれた。

「みんなから笑われても良いんだ。だってこれは俺の夢。」
その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かが弾けた。

「叶う叶わないじゃなくて、もう決まってることなんだよ。」
誰でもない。自分が自分の夢を信じてあげなきゃ、何の意味もない。
彼にとって夢というのは、どんなことがあっても達成可能なのだろう。

私の目には、彼が輝いて見えた。
勇気ある言葉に込められた希望の光。

これが、自分を信じるってことなんだ。

そう気付いた瞬間、私は一歩を踏み出す決断が出来た。

もし彼に出会えてなかったら、今の私は存在しない。
夢を持ち、道を進み、色んな景色を見て、自分の目的地に辿り着けば良い。

その日以来、私の見ていた世界は、明るくなった。